シンスプリントとは
シンスプリントとは、ランニングやマラソン、サッカーやバスケットボールなど走ることの多い競技をする方に起こる足の痛みです。
足に近いすねの内側、やや後ろよりのところが痛くなり、悪化すると運動や日常生活に支障をきたすようになります。

男性では13歳頃から発生し、平均18.5歳、女性では12歳から発生し平均16.9歳と女性ではやや早い年齢から起こりやすいと報告されています。
従来から骨の表面にある膜(骨膜)の炎症が原因と言われているものの不明な点も多く、近年ではMTSS(medial tibial stress syndrome、すねの骨にかかるストレス障害という意味)という用語が使用されるケースが増えています。
シンスプリントの原因
痛みがでる場所には足をけるために必要な筋肉がいくつもついているため、それらの筋肉に強く引っ張られることで痛みが発生すると考えられています。
- ・ランニングの量が急に増えた、ランニングを始めた
- ・扁平足(土踏まずが浅い足)など負担のかかりやすい特徴を持っている
- ・足首がかたい、筋力不足
- ・固いグラウンドや路面での練習
- ・クッション性の悪いシューズの使用
シンスプリントの症状
足に近いすねの内側やや後ろよりのところに、5-10cmとやや広い範囲で痛みが発生します。
治療せずに運動を続けると、次のように症状が進行します。
- 運動後にだけ痛む
- 運動は思い通りにできるが運動中に痛む
- 運動が思い通りにできないくらい痛くなる
- 安静にしていても痛む
シンスプリントの検査
疲労骨折など他の疾患がないかレントゲン検査を行いますが、シンスプリントの場合特に異常所見はありません。
診断に最も有用と思われるのはMRIで、痛みの場所に信号変化があれば診断が可能なだけでなく、信号変化の範囲や程度で重症度の判定をできるという利点があります。
超音波でも詳細な評価が可能であるという意見もあり、大がかりな準備が必要なく気軽に受けられるという利点があります。
シンスプリントの治療とリハビリ
運動ができる程度の痛みであれば、練習量を減らし原因への対策を考えていきます。
足首の可動域を改善するためのストレッチ、筋力不足を補うためのトレーニング、もし扁平足があればインソール(靴底)を入れて足にかかる負担を軽減するようにします。
練習後に自分で氷によるアイスマッサージやアイシングを行うことも効果的です。
もし運動が難しいほどの痛みがある場合は、しっかりと安静期間を取る必要があります。少なくとも6週間程度の走行禁止が必要になります。
1)下腿のスポーツ障害-病態・評価・治療-
2)日本整形外科スポーツ医学会ホームページ「シンスプリント」
3)下腿の痛み 服部惣一 臨床スポーツ医学33