新横浜整形外科リウマチ科

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大腿骨頭壊死とはどんな病気か

大腿骨頭壊死は、比較的若い方に多い股関節の病気です。
突然の痛みで発症することが多く、初期の場合はレントゲン写真などではわからないことがあるため、見逃されている例も少なくありません。今回は大腿骨頭壊死について簡単に説明いたします。

大腿骨頭壊死とは

大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)とは、太腿を支える大きな骨(大腿骨;だいたいこつ)のうち、足の付け根の側の股関節にはまっている部分(大腿骨頭:だいたいこっとう)に血が通わなくなり、骨の組織が死んでしまうことを言います。
大腿骨頭壊死

大腿骨頭壊死の症状

大腿骨頭壊死は、骨が死んでしまうだけでは症状はありません。
症状が出るのは、死んだ骨が崩れて大腿骨頭がつぶれてしまった時です。
急に足の付け根(股関節)の痛みが出るのが特徴的な症状となります。
このほか、腰や膝、お尻の痛みが出ることがあります。

大腿骨頭壊死の原因

大腿骨頭壊死は、大腿骨頭に十分な血液が流れず、血が通わなくなって死んでしまうことで起こります。
ではどうして骨の一部が死んでしまうのか、その原因ははっきりしないことがほとんどです。

原因のはっきりしない大腿骨頭壊死を「特発性(とくはつせい)」大腿骨頭壊死と呼んでいます。
お酒をたくさん飲む人(日本酒換算で2合/日以上)や、ステロイドのお薬を飲んでいる方(プレドニゾロン換算で15mg/日以上)に多いと言われている病気です。
特発性大腿骨頭壊死は厚生労働省が指定する特定疾患となっており、医療費などの補助を受けることができます。

特発性以外の原因としては、脱臼や骨折などの外傷、深い海に潜った人が地上に上がった時にかかる減圧病などがあります。

大腿骨頭壊死の検査

大腿骨頭壊死を診断するための主な検査は、レントゲン写真とMRI検査です。
特に早期の場合はレントゲン写真だと診断がつかないことが多いので、少しでも疑いがあればMRI検査を行います。

他の部位にも壊死がないか確認する目的で、骨シンチグラフィーを行うことがあります。

大腿骨頭壊死の治療

大腿骨頭壊死の治療は、保存療法と手術療法に分けられます。

保存療法とは、手術以外の治療法のことです。
まずはこれ以上骨の破壊が進まないように、体重管理や杖による負荷の軽減、長歩きや重いものを持たないなどの生活指導を行います。
痛みに対しては、消炎鎮痛剤(痛み止め)を使用します。

骨の変形が早い場合や症状が強い場合は、手術を行います。手術の方法には、自分の骨や関節を残す骨切り術と、股関節そのものを人工のものと取り替える人工関節置換術があります。
人工関節

若い人を中心として、基本的には骨切り術を第一選択とすることが多いです。骨が死んだ範囲が大きい場合、骨が大きく壊れてしまった場合、また高齢者の場合は人工関節置換術を選択することが多いです。

まとめ

以上、大腿骨頭壊死についてです。
日本においては年間2000〜3000人が新たにこの病気になると言われており、30〜50歳代と比較的若い方に多いとされています。
「なんだか突然足の付け根が痛くなった」という場合は、この病気の可能性があります。
気になる方は、是非一度当院でMRI検査を受けてみてください。


参考文献

https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/femur_head_necrosis.html
https://www.joa.or.jp/public/publication/pdf/joa_017.pdf
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000089951.pdf
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/10/dl/s1011-3f_0042.pdf
https://www.nanbyou.or.jp/entry/306
https://www.nanbyou.or.jp/entry/160
https://minds.jcqhc.or.jp/docs/gl_pdf/G0001155/4/osteonecrosis_of_the_femoral_head.pdf
https://www.jinko-kansetsu.com/pain/hip/femur_head_necrosis.html

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