湿布剤を上手に使おう

2023年1月18日

首や肩のこり・腰痛・関節痛・筋肉痛など、体の痛みに「湿布」を使っている方は多いと思います。
湿布について、処方薬と市販薬の違い、注意点、選び方についてご紹介します。

1.湿布の効果と特徴

湿布は、痛みのある部分に貼ることで、痛み止めの成分が筋肉などに浸透して効果を発揮する貼り薬です。
肩こり、腰痛、ねんざ、筋肉痛などいろいろな痛みに使うことができるため、若者から高齢者まで広く使われています。
飲み薬の痛み止めと比較すると、血液中に入る成分量が少ないため全身の副作用の危険が少ないこと、筋肉へ届く成分量が多いことが特徴です。

湿布はドラッグストアなどでも売られているため、ちょっとした痛みならご自身で対応することもできます。
ただし、痛みが長く続いているときは、大きな病気の可能性も考えてみましょう。
頚椎症、後縦靭帯骨化症、ヘルニア、リウマチなど、痛みの長引く病気はさまざまあります。
痛みを取り除く根本的な治療ができるかもしれませんので、当院の整形外科でご相談ください。

2.処方薬と市販薬、湿布の違いについて

湿布は一度に処方できる量に制限があるため、次の受診まで不足してしまうこともあるでしょう。
そういった場合は、市販薬でも対応できますが、当院でもお薬のみをお渡しすることもできます。

ロキソニンテープ(ロキソプロフェンテープ)

「ロキソプロフェン」という成分が含まれた湿布です。
ロキソニンテープと全く同じ「スイッチOTC」と呼ばれる市販薬のほか、成分の濃度が高いものや、貼ると温かく感じる「温感タイプ」も市販されています。

モーラステープ(モーラスパップ、ケトプロフェンテープ)

「ケトプロフェン」という成分が含まれた湿布です。
同じ成分の湿布も市販されています。
「光線過敏症」の副作用に注意してください。

ロコアテープ

ロコアテープは病院の処方薬でしか取り扱っていない湿布で、「貼る飲み薬」とも呼ばれるほど効果の強いものです。
変形性関節症の方のつらい痛みに使用します。

3.湿布の注意点

「湿布は副作用がなく安全だ」と思っていませんか?
湿布といえど、注意してほしいことはいくつかあります。安全に使用できるよう、以下の点を知っておいてください。

3-1. 副作用について

湿布の代表的な副作用は2つです。

皮膚のかぶれ
皮膚の弱い方や高齢者に多いのが「かぶれ」です。
ステロイドの内服薬を長期間使用している方は、皮膚がうすく弱くなることがありますので、かぶれに注意しましょう。
貼る位置を毎日ずらす、かぶれた時は湿布を貼らないなど、対策してください。

光線過敏症
モーラステープ(ケトプロフェンテープ)を貼っていた部分が日光にあたることで、肌に赤みやかゆみ、炎症などの症状が出る副作用のことです。
手首、首元などにモーラステープを貼っていた場合、うっかり日に当ててしまうことがあるので注意しましょう。
モーラステープを剥がした後、「4週間」は日光に気をつけなくてはなりません。
手首はサポーターや手袋で覆う、首元は襟付きのシャツやストールなどで日光から隠すようにしてください。

3-2. 使用方法について

患者さんからよく聞かれる疑問についてお答えします。

剥がれてしまったらどうする?
貼ってから数時間以上経過していたら、成分は吸収されているので新しく貼り直す必要はありません。
目安として、1日2回貼る湿布なら4~6時間、1日1回貼る湿布なら10時間ほど貼っていれば十分です。
貼り直すことで体内に成分が過剰に吸収され、副作用を起こす危険性があります。
肌を休めて「かぶれ」を予防することにも繋がるので、剥がれても新しいものを貼り直さないでください。
たくさん貼ればよく効くの?
湿布は、たくさん貼れば効果が高まるわけではありません。
1日2枚までなど、医師から指示された量を守ってください。
貼る枚数が増えれば増えるほど、血液中に入る成分量が増え、副作用の危険が高まってしまいます。
妊娠中に湿布薬を使っても大丈夫?
NSAIDsの湿布薬は、妊娠中(特に妊娠28週以降)に大量に使用すると、赤ちゃんに悪い影響を与える可能性があります。
誤って貼ってしまったら、すぐに剥がしましょう。
湿布薬を使用したい場合は、使用できる湿布がありますので、産婦人科に相談の上、使用しましょう。

4.湿布の選び方

湿布には、いくつか種類があります。
ご自身の痛みにはどちらが合うのか、選ぶときの参考にしてください。

温湿布、冷湿布の違い

痛みが「温めると楽になる」なら温湿布、「冷やした方が気持ちいい」なら冷湿布がよいとされています。
ヘルニアやリウマチなど、慢性的な痛みは温めた方が楽になる場合が多く、温湿布がよいかもしれません。
筋肉痛などの急な痛みには、冷湿布をおすすめします。
実際に温度が変わるわけではなく、温かく・あるいは冷たく「感じる」だけですので、どちらでも効果は変わりません。

テープ、パップの違い

テープは薄茶色でしっかり粘着する湿布、パップは白く厚みがある昔ながらの湿布です。
肌の弱い方は、パップの方が剥がすときの負担が少ないのでよいかもしれません。
湿布を目立たせたくない方はテープがおすすめです。
湿布としての効果はどちらも同じなので、好みの方を選びましょう 。

痛みなどでお困りの方は、まずは医療機関へご相談ください。

inserted by FC2 system